ホワイト企業のブラック上司②~むかえた限界~

ちょっと小話

世間一般的なホワイト企業に勤めながら、ブラック上司のもとにつき、今でも悩みの途中にある人間の話の続きです。

前回はこちら

今現在、ブラックな環境で苦しんでいる方、はたから見ると恵まれているように見えて周りに相談しにくい方へ。

同じような状況で苦しんでいる人間がいるんだよ、と少しでも励みになれば、うれしく思います。

第2回の内容は、わたしが精神的に参ってしまったことが中心で、暗めの話が多くなりますが、最後には実践して効果のあったトラウマの対処法についてもお伝えします。

傷つく心

「2024年卒版 一流ホワイト企業ランキング TOP100」にもランクインしているホワイト企業に勤めながら、入社8年目にして出くわしてしまった「上司A」。

部下を精神的につぶして、のし上がる「クラッシャー上司」というタイプでした。

クラッシャー上司

部下を精神的に追い詰めてつぶす。他人への共感性が欠如しているため、そのことに罪悪感を抱かない。しかも、基本的には仕事ができるため、会社としても処分がむずかしい。結果として、クラッシャー上司は部下を潰しながら、どんどんと出世していく

仕事ができて上層部からの信頼が厚い外面と、部下を思い通りにしたがり、別室に呼びつけて陰湿に追いつめる二面性に、心が疲れていく日々。

出口のない難題

あるとき、「新しいことを提案してほしい」といわれました。

「誰も思いつかないような、すごいことがいい」というのです。

この時点で、あやしさ満点ですが、当時はそんなことを思う余裕もなく、ひたすら考え、いろいろなものを調査しました。

そもそも、大企業で「誰も思いつかないようなこと」をやるには、本人のやる気以上に、上司がそれを受け止めて、「やる」と決意する器が必要なのです。

そんな覚悟があるとは思えないのですから、提案しても出口がないことは今なら分かります。

ですが、当時のわたしはそこまで考えがおよびません。

まじめに考えたことを相談しにいっても、

「今やる感じではないかな~」、「もうちょっと他のことがいいかな」とあいまいで具体性がなく、方向性すら決まりません。

ときには、「これ決まらなかったら無職ですよ」と茶化すようにいってきます。

だんだんと精神的に追い詰められ、自分の中で焦りがおさえきれなくなって、あるときぽろっと

「何をもっていってもダメなんですね…」

とこぼしてしまいました。

すると、それまでは表面上、にこやかに「ちがうかな~」といっていた上司の顔から表情が消えました。

(マズった…)と思っても後の祭りです。

なにかいわれるかと思いましたが、結局無言のまま上司Aは会議室を出ていきました。

押しよせた精神崩壊

びくびくしながらすごした数日後、上司Aからメールがきました。

「本日、打ち合わせできますか?」

とてもシンプルなメールでしたが、何事もなかったかのような一文に、ただただ恐怖しかありませんでした。

このとき、わたしの中でなにかが壊れたのを覚えています。

それは身体の症状となってあらわれ、両手の震えが止まらず、過呼吸状態。

会社のデスクにいながら、なりふり構わず叫び出したい衝動にかられました。

「自分はここにいるのはもう絶対に無理だ」と、「これ以上はもう耐えられない」と、命の警鐘が鳴っているようでした。

その日はどうやってやり過ごしたか、よく覚えていません。

ただ、上司Aのさらに上の部長Bへ「ご相談したいことがあるので、お時間下さい」というようなメールを、震える手で出しました。

部下解除&異動の光明、だが実態は…

時間を作ってくれた部長Bに「上司Aの部下から外してほしい」と涙ながらに訴えました。

さすがはホワイト企業なので、訴えはすぐに通り、その場で部下解除です。

しかも部長Bは、自分のツテで他の勤務地に異動させてあげるとも言ってくれました。

近い将来、上司Aから遠く離れられることが嬉しく、希望の光となったのでした。

が・・・

その事件が起こったのが約10ヶ月前。

現状はどうなったかというと

  • 異動はなし
  • 同じ部内でグループを移っただけ
  • 話すことはないものの、上司Aは今でも視界に入る距離にいて同じミーティングに参加させられる

という状況で、今でも当時のことがよみがえり、心の傷はなおりません。

ときにひどく落ち込むこともありながら、もんもんとした日々を送っています。

セカンドハラスメント

上層部からすれば、職場でパワハラが起こったことは「隠したい」もの。

自分たちの監督責任が問われてしまうため、できることなら穏便に済ませたい、知られたくないと思うのでしょう。

わたしの訴えを「うん、うん」と聞いてくれた部長Bは、上司Aのもとから外す対応こそしてくれたものの、外野から見ているだけです。

部長Bにとっては、そんなつもりはないのでしょうが、私からするとセカンドハラスメントも同然でした。

セカンドハラスメント

セカンドハラスメントとは、被害者が助けを求めて相談したにも関わらず、相談したことで、さらに精神的苦痛を受けることです。次に起きるハラスメントのことを指します。

被害者側が逆に責められたり、バッシングや嫌がらせを受けたりするなどの二次被害を指します。

しかし、「セカンドハラスメント」をしている当人にその認識があるとは限らず、親切心が裏目に出る場合も多々あります。

休むのは最悪の手段

機会を見つけて面談をしてくれるのはありがたいのですが、あるとき「休職したい」と訴えたときに返ってきた言葉は「休むのは最悪の手段」

経歴に傷がつくから、昇進にひびくから、つまりは「あなたのためだから」というのです。

上司Aにもさんざんいわれてきた「あなたのため」という言葉を、また聞くことになろうとは。

うわべだけの「あなたのため」と、「あぁ、休むこともできないのか」の言葉が、絶望感となって襲いかかりました。

昇進試験の提案

事件より半年後、思うように心が回復せず、仕事もほぼ手つかずの状態だったのに、なぜか昇進試験の提案が…

(なぜ?この状況でできると思っているのか?)と半ばあきらめたように話を聞いていると、「だいぶ元気になったのでは?」とのこと。

毎日がんばって、なんとか出社していた日々は、はたから見ると「普通に出社している」=「元気になった」と受け止められるのだな、と思いました。

ただ、無難におとなしく過ごしていると、はたからは普通=元気になったように見えるのだな、と思いました。

一瞬だけ受けようかとも思いましたが、このメンタルで面接試験に耐えられるとも思えず見送りました。

「自信ついた?」の真意は・・・

さらに、その後の面談で部長Bにいわれたことは、「自信はついた?来年は昇進試験にチャレンジしてね」でした。

何をいっても無駄だな、と返す言葉もありませんでしたが、この時点で気づいてしまったのです。

たぶん一番最初に相談した時点で、「Aが仕事ができるから自信なくすよね」くらいにしか思っていなかったのではないかと。

この日を境に、部長Bへの信頼は墜落しました。

回復に向けて

ただ、そんなふさぎ込む中でも、心を軽くしてくれる人たちがいました。

そのことが支えになっていて、気持ちが浮いたり沈んだりしながらも今も立っています。

回復のきざしに関する体験談は③へ続きますので、話の続きが気になる方はそちらへどうぞ。

これ以降の内容は、立ち直るためにわたしが実践した心理学的方法についてお話しますので、興味ある方は続きをご覧ください。

記憶の印象を変える

わたしに降りかかったこれらのできごと。

受けた傷は治らず、ふと思い出しては落ち込むこともあります。

それでもどうにか前進しようと今まさに回復の途中で、いろいろ試して効果があったこと、なかったことを実体験にもとづいてお話します。

職場で受けたハラスメントに悩んでいる方トラウマの記憶を書き換えて心のダメージを軽くしたいと思っている方へのヒントになれば幸いです。

時間は解決してくれない

いやなことがあったときに、よくいわれる「時間が解決してくれる」という言葉。

「時間」に期待してみましたが、わたしの場合は効果がありませんでした。

1年弱が経過した今でも、過去に経験したできごとはトラウマとなって、ふとした瞬間によみがえって頭の中を支配していきます。

このような現象を「フラッシュバック」といい、自分ではコントロールできないものです。

ですので、自分のせいではない、とし意識するようにして過去の記憶を切りはなすよう努力しているところです。

加えて、トラウマは時間では消えないからこそ、トラウマのもととなっている記憶の印象を変える努力をしてみました。

次に紹介する2つのやり方は、心理学的にも使われている方法です。

いやな記憶の上書きが少しずつ進んでいますので、トラウマの対処に困っている方はぜひやってみて下さい。

肯定的な意味に変える

立ち直れない原因のひとつに、起こったできごとをずっと否定的に考えてしまうことがあげられます。

否定的に思い起こされる記憶によって、「なんであんなことをしてしまったんだ」、「なんでそこまで言われなければならないんだ」と、自分を責めたり、相手に怒りを感じたりするでしょう。

そこで、トラウマとなった出来事の肯定的な側面を見つけるようにします。

心理学の専門用語では、否定的な意味を肯定的に変える技法を「リフレーミング」といいます。

たとえばこんな感じです。

  • 自分の思い通りにしたがる→仕事への関心が高い
  • やることなすことに文句をつけてくる→教育熱心な人、自分がいちばん効率的と思っている人
  • 言うことがころころ変わる→現状にあわせて物事を判断している

これで気持ちの整理がすべてつくわけではありませんが、トラウマから距離をおくことができます。

学びととらえる

記憶のとらえ方を変えるリフレーミングに対し、トラウマの原因となる事実自体をよかったものととらえる方法があります。

心理学用語で「フォーカシング」といい、事実を学びととらえるようにします。

まずはトラウマの原因となったできごとを整理します。

紙に書きだしてみるのもおススメです。

次にそのできごとがあったからこそ「学べた」と思うことへつなげます。

たとえば、次のような考え方です。

  • あのとき嫌がらせをされたからこそ、後輩に優しくしようと思えた
  • ひどい目に遭ったからこそ、こんなヤツに負けないようにと強くなれた

わたしの場合、上司Aにつぶされたことで学びと決意ができました。

「会社がすべてではないと思い、お金の勉強をし、投資・副業を始め、「会社に依存しない人生を送る」という新たな目標ができた」

というものです。

これをきっかけに、副業に関するブログも発信しています。

内容は主にメルカリを利用した物販で、そのノウハウをつめこんでいます。

職場環境を変える

今の職場がトラウマの原因であれば、転職も視野に入れることをおススメします。

  • 職場そのものがトラウマ
  • いやな人が今でも近くにいる
  • 原因となった人物の影響が大きい職場である

このような場合で、社内での異動も見込めないときには、転職して職場環境を変えることで、いやな記憶も忘れやすくなります。

「いつか辞めてやる」と胸に秘めて転職サイトに登録し、自分の市場価値を測るところからでも動いてみると、トラウマの記憶が以前ほどフラッシュバックしにくくなったりもして一石二鳥です。

それでは、どん底からの立ち直り体験談③へ続きます。

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